恋愛小説 ハッピ-エンドばかりじゃないけれど

大人になったばかりの男女大学生たちの、真剣だけれどドジな行ったり来たりを繰り返す、恋と友情の物語

第37話 助けた女性は超セクシ—! 

悠介はJR山手線の最寄り駅で降りて、大学キャンパスへ早足に急いでいた。

新宿駅で15分ほど足止めを食ったためだが、なんとか次の講義には間に合いそうだ。

ほんの少し前に起こった出来事を思い出そうとして、柄にもなく顔を赤らめてしまった。

 

救護室に彼女を運び込んで寝かせてから、ホッと大きな息を吐いて彼女をあらためて見てみた。実はどのような女性か顔も服装もはっきり見ていなかったのだ。

満員電車内で起こったことで、彼女の顔を見られなかったし、抱きかかえてからは(初体験だったこともあり)女性の体を何処かにぶつけないように細心の注意を払っていたせいか、そのような些細なこと(!)に思いが及ばなかったという事らしい。

両手の感触から、骨細のスレンダ—な女性というのは分かっていたが…。

 

その女性を見て自分は生唾を飲み込んだと思う。確かにその音を聞いた(!)。

彼女はブルーデニムのミニスカ-トを着て(ちょっと頭を低くすれば、奥まで見えてしまいそうな危ないものだった!)、上は白のキャミソ-ルという格好だった。キャミソ-ル姿というのは何でこんなにもセクシ—なんだろう!

              

それだけではない。キャミソ-ルの胸のあたりに何かポツンと突き出ているようなものがある。もしかするとと思ったら、それは立っている乳首ではないのか? 乳首が見えるのだ! 単に見える、というよりは自己主張している、というのがふさわしいようにハッキリ見えているのだ。

-えっ、ブラついてないの⁉

つまりノーブラということなんだろうか⁉

それは何ともセクシ—なようでもあり、美しいもののようにも見えた。そう、彼女のそれは本当に美しかったのだ!

顔は横を向いているので横顔しかよくはわからないが、鼻筋が通った綺麗な顔をしているように見える。若い女性だ。いっても22-23歳くらいか? いや、20歳くらいかも…。

 

悠介は女の乳房に触れたことがある。女を抱いたこともある。セックスをしたこともある。でもそれはそういう特別な場所で経験したことで、普通の女性のそこは見たことはあっても、触ったことはなかった。

だが、その女性の自己主張の強い乳首を見ていたら、何故か無性に触りたくなってしまったのだ。美波や美里に会った時には感じなかった『気持ち』だった。彼女たちと会っている時には理性で押さえつけていたものが、不意に見てしまった乳首に、正確にはキャミソ-ルから飛び出ている乳首だが、不覚にも頭が体が自然と反応してしまったのかもしれない。

 

-男のこういう気持ちを、女の人は理解できるのだろうか?

 

そう思ったが、そんなことはないだろうと思い直した。男の自分が説明できない気持ちを、自分の身体ではない女性が理解できるとは思えない、と考える方が自然だからだ。

 

-こんなことを美波や美里に話したら、軽蔑されるだろうな。

 

長いこと見とれていたのかもしれない、オホン、という駅員さんの声に我に返った。それで顔が真っ赤になってしまった。もし悠介が一人でいたなら、触ってしまいたい触れてしまいたい欲求に逆らえたかどうか…。それは絶対に絶対に無いだろうが…。

駅員さんは、女性の身体に毛布のようなものを掛けた。まるで容赦ない卑猥な視線を注いでいる若者の目から守るかのように。

 

暫くして女性は気分が落ち着いてきたのか、意識が戻って来たようだ。ベッドの上に腰かけては何度も礼を言ってきた。単なる貧血らしい。

悠介は「いえいえ、大したことではありません。」

女性の顔を見るのが何ともなく気恥ずかしく思われ、両手を左右に振りながら顔を隠して言った。

その女性が奇麗だから助けたのではない。相手がおじいさんでもおばあさんでも助けた。そういう事だ。

その女性は何か言いたそうだったが、彼は

「大学の講義に出なければならないので、失礼します」

といって救護室を出た。

ちょっと前まではあんなに疲れていたのに、今は何故か疲れを全く感じなくなっていた。一仕事終えたような一種爽快な気分だったのだ。

 

《つづく》

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