恋愛小説 ハッピ-エンドばかりじゃないけれど

大人になったばかりの男女大学生たちの、真剣だけれどドジな行ったり来たりを繰り返す、恋と友情の物語

第14話 もう心変わりですか?

 

-どうしたんだろうか? 



悠介は心配を通り越して不安に襲われた。

 

-いくら何でも、何も来ないってどういうことだよ!

 

会った翌日、つまり今日の朝にメッセ-ジを送ったが返事は無かった。夕方も送ったが返事なし。

 

-なんだよ! また不機嫌の魔法にかかっちゃったのかよ⁉

 

こうなるとお手上げである。

 

別れる前の彼女の態度からは、異変を予感させることは無かった自信がある。という事は、別れてから彼女の身に何か起こったのだろうか? そうとしか思えなかった。

 

-ヤレヤレ、女って言うのは面倒くさい生き物だな!

 

と愚痴を言いながらスマホをベッドに放り投げて、壁に貼ってあるヌードポスタ―を横目で眺めた。

あんなに悠介を虜にしたのに、今では殆ど見ることも無くなってしまっていた。その理由は明らかだった。今では美里が彼を虜にしてしまったのだ。

しかし王女様からは何の便りも無い。もしかするとあの夜は、別の邪悪な魔法をかけられていたのだろうか? あの痴漢野郎をもて遊んでやろうと…。

悠介は頭を振った。今考えていることは妄想そのものだ。自分の方こそ悪魔の魔法によって疑り深くなっているのだろうか。

 

今、彼女は迷っているのかもしれない。悠介に連絡先を教えたことを。

信じたくはなかったが、もしそうだったら言ってくれ。もう二度と君には連絡を取らないから。君には二度と会わないと約束する。だから返事をしてくれ‼

 

どれくらいそうしていただろうか。気づいてみたらベッドにうつ伏せになって転寝をしていたようだ。どうも先程から何回か部屋のドアをノックする音が聞こえていたように思う。

急いでドアを開けると、そこに2歳年上の姉が立っていた。現在大学4年生だが、就職せずに大学院に進むことになっている。植物学の何とか言う植物の何かを研究したいらしい、という話は自然と耳に入ってきていた。典型的なリケジョである。

姉の顔は何故か微笑んでいるようだ。こういう時は要注意だぞ、と経験が警告してきた。はて、姉から何か借りていただろうか、と思っていると意外なことを言ってきた。

 

「さっきお母さんから聞いたんだけど、今日あなたが帰ってくる前に美波ちゃんから電話があったみたいよ。急ぎじゃないから電話はいいです、ってことだったみたいだけど。」

そこで急に口調を変えて、

「悠ちゃん、あんたまさか美波ちゃんと付き合ってるってことないよね?」

余りの驚きに声も出なかったし、表情も凍りついていたと思う。やはり姉貴は鋭い! 何も言えないでいると、

「あなたたちがテニスの試合に行った直後から美波ちゃんの様子がおかしいって、彼女のお母さん、つまり叔母さんからつい先ほど電話があったんだって。悠介クンが何か知っているんじゃあないかって言うんだけど。どうなの?」

「思い当たることは無いわけじゃあないけど…。」

「じゃあ、とにかくまずは美波ちゃんに連絡して。メルアド持ってないでしょ? はいこれ。」

姉のスマホにそれがあった。

「あ、言っとくけど、叔母さんが電話してきたことはまだ内緒にしといてね。あそこも色々あるみたいだから。」

それだけ言うと、返事も聞かずにあっという間に出て行ってしまった。

何か事態が動き始めた様で、期待と不安が半々だった。

とにかく、美波にメッセ-ジを送った。何故このアドレスを知っているのか訊かれたら困ってしまうが…。

数分間があって、美波から返事が届いた。それは全く予期していなかった内容だった。

 

《つづく》

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